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特集/映画「TYHOON/タイフーン」主演:チャン・ドンゴン
映画「タイフーン」プレミア会見 CAST & STAFF 北朝鮮からの敗北者(背景) ドンゴン様、大好き“ウフフ”の日記
北朝鮮からの敗北者(背景)

脱北者増加の現状

脱北者の韓国への入国は、北朝鮮に天災が続き、餓死者が増えた90年代半ばから本格化してきました。また北朝鮮の経済的破綻と抑圧的な国の体制により、1999年には148人だった脱北者も、2003年には1281人、2004年には1890人と増加し続けています。脱北者支援組織は韓国や日本、欧米にまで広がり、すでに大きな国際問題となっています。

この問題は北朝鮮と韓国の政府間の対話にも大きな影を落としています。2005年7月下旬、韓国政府はベトナムに潜伏していた468人の脱北者を一度に受け入れました。これを受けて北朝鮮は「白昼のテロ犯罪」と批判し、同年8月に予定していた南北閣僚会議をボイコット。その後の核問題をめぐる6カ国協議開催要請にも応じていません。また韓国としても増え続ける脱北者の数に対応しきれず、今後は大規模の受け入れをしないと声明を出しています。

とはいえ、今後も脱北者の流れは当面止まることはないでしょう。一向に進まない経済回復だけでなく、命がけで国境を越えてくる彼らの様子を見れば明らかです。2005年9月、拷問で両足を切断された女性が脱北に成功し、韓国に大きな衝撃を与えました。彼女は助けを求めた脱北者支援団体への手紙に「歩いていけないなら這ってでも韓国に入国し、今の北朝鮮の惨状を告発する。」と述べています。この強い意思はどんなに国の規制が厳しくなっても変えることはできないでしょう。

脱北者の問題は決して韓国だけの問題に限りません。2002年中国の瀋陽では、日本総領事館内に入った脱北者を中国警察に連行させることを許し、厳しい批判を招きました。そして今現在でも日本の公館を通過し、第3国への入国を試みる脱北者は絶えることはありません。今後私たちはどのように彼らと向き合っていくべきなのでしょうか。途絶えることない脱北者は、常にそのことを私たちに問いかけているのです。

<テキスト 村井ゆかり>


左=瀋陽の日本総領事館に駆け込もうとする北朝鮮の人たち 
右=日本総領事館内で一家を取り押さえる武装警察官(いずれも共同)
写真参考/中国新聞

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