格差恋愛、三角関係、出生の秘密や過去の確執など、韓国ドラマに欠かせないマクチャン要素が詰め込まれ、常に20%を超える視聴率を獲得したヒューマン・ラブストーリー「青い鳥の輪舞〈ロンド〉」。
幼いころに父親を亡くし、母、祖母、妹を支える長男 キム・ジワンを、「シティーハンターin Seoul」「赤道の男」など陰のある役柄から、「私の人生の春の日」の誠実な心臓専門医まで、幅広い演技力でファンを魅了するイ・ジュニョクが演じている。初主演となった本作では就職活動に奮闘する生真面目な青年ジワンを演じ、さらなる人気を獲得したイ・ジュニョクのオフィシャルインタビューが到着!
――台本を初めて読んだ時はいかがでしたか? 「青い鳥の輪舞〈ロンド〉」というタイトルをお聞きになった時はどのような気持ちでしたか?
イ・ジュニョク:タイトルを見た時は、幸福についての家族の話だと思いました。台本をもらった時は、私が今まで演じてきたキャラクターとは違って、特別な職業でもない、医師や弁護士でもない、普通のところが、かえって胸に響いたようです。
――演じたキム・ジワン役について簡単に紹介してください。
イ・ジュニョク:ジワンの生家は経済的にも苦しいのに就職もままなりません。彼は、見方によっては自分の人生というものがない青年です。普通のドラマは能力があったり、素晴らしい人物を描いていたりするものですが、このドラマはそうではありません。ジワンは何の取り柄もない、さえない人物です。しかし、私にはそれが魅力的に思えました。最後まで、すごい人になると期待することもなかったし、小さなことに黙々とたえて一生懸命に生きていくのは立派なことだなと思いました。
――ジワンと、イ・ジュニョクさん本人との相違点はありますか?
イ・ジュニョク:ドラマに出演する度に、似ているところや見習いたいと思うところがありますが、キャラクターというよりは、考え方の方向性が似ていると思うことが多いです。前作の『私の人生の春の日』では、失ってしまった愛について考えました。この作品では、このような現実にあって、こんなふうに何の取り柄もない青年が、生きていくことについて関心を抱きました。それでジワン役を演じてみたくなったようです。
――違うところは?
イ・ジュニョク:まずは、私とジワンとでは直面している現実がとても異なりますよね。私はジワンよりは収入もいいし、仕事もあります。ただ、今まで演じてきた役は、私よりも優秀でしたが、今回は違います。だからジワンは、私が面倒を見てあげたくなるようなキャラクターでした。年齢も私より下でしたからね。
――景気低迷と就職難、そして様々な難題を抱えた今の時代を生きていく韓国の若者たちと同じ時代を生きる30代の男性として、今回のドラマを通じて何を感じましたか?
イ・ジュニョク:「一生懸命にやれ、そうすれば成功する」という言葉を、私はあまり好きではありません。それぞれに置かれた社会状況が異なりますから、「一生懸命にやれ、そうすれば成功する」なんて言えるのは、成功した人だから言えることだと思うんですよね。偶然や運がはたらくこともあると思います。しかし、どんな状況になっても、卑屈になって自分には能力がないなどという考えを抱かなければいいと思います。運命や社会的な様々なシステムや背景も作用をすると思うので、あきらめないで、自分が好きで、楽しむことができるように、人生を見つめる方法を変えれば、もう少し元気が出るんじゃないかと思います。 ジワンを通してそういった部分に関心を抱くようになりました。身近な人の中にもジワンと同じような人が多いから、余計にこんなふうに思うようです。
――ジワンを演じるために特に気をつかったポイントはありますか? 今までは医師、弁護士など特別な職業のキャラクターが多かったのですが、普通の青年を演じる上で、これまでとは異なるところはありましたか?
イ・ジュニョク:衣装は、就職してからは変わりますが、ドラマの初盤では、2着(2種類)しか着ませんでした。なので、3つ目の衣装が出てきた時はスタッフが拍手してくれたほどです(笑)。
――友達であり、ライバルであったヒョンド役を演じたイ・サンヨプさんと共演してみていかがでしたか?
イ・ジュニョク:共演が縁で本当にいい兄貴と知り合えたと思っています。
――イ・ジュニョクさんの理想の異性はどんなタイプですか? 今回の作品のヨンジュ(キョン・スジン)、ミジン(オム・ヒョンギョン)の2人のうちどちらに惹かれますか?
イ・ジュニョク:劇中のキャラクターで考えたらミジンのほうですね。外見などはあまり関係なくて、一緒に仕事をしていて互いに助け合える関係で、理解し合えて話が合う……。そんな恋愛が今の自分には合っていると思います。ヨンジュも成長して変わっていけば、ヨンジュもいいかなと思います。楽しい悩みですね(笑)。
――特に記憶に残っているシーンはありますか?
イ・ジュニョク:このドラマは、私が今まで出演したドラマの中で最もアドリブの自由度が高い作品でした。台本のト書きにはほとんど説明がなく、まったくのアドリブでシーンを作っていく場合がありました。例えば飲み会のシーンでも、「酒の席でわいわいと騒ぐ」としか台本には書かれておらず、みんなが一堂に集まって、それぞれのキャラクターに合わせてアドリブで演じていったんです。そういう時に生まれる「呼吸」が私にはおもしろく感じられました。記憶に残っているとすればそういったアドリブシーンでしょうか? コミカルなシーンはほとんどが俳優たちのアドリブです。そういうところを楽しんでもらえたら幸いです。
――撮影現場でのムードメーカーは誰ですか? 俳優たちやスタッフたちとの間で何かおもしろいエピソードはありますか?
イ・ジュニョク:ムードメーカーはキャラクター的にもチャン・ヒョンド役のイ・サンヨプさんですよね。ジワンは羽目を外せるような感じではなくて苦労しました。エピソードといえば、ユンチーム長役のオ・ヨンさんは、本当にアドリブで4、5分くらいずっと話し続けるんです。それに対してこちらもリアクションして……。おもしろかったですね。
――このドラマは視聴率1位をずっと維持するほどヒットしましたが、この『青い鳥の輪舞〈ロンド〉』が視聴者の心を捉えて放さなかった原因はどこにあると思いますか?
イ・ジュニョク:週末ドラマには限界があって、似たような物語を描くしかないところがあるのですが、意外だなと思えることもありました。ともすると重くなってしまいがちなストーリー展開の部分が、思ったよりも軽いタッチで描かれることが多かったんです。このドラマには大声を張り上げたり、家族と一緒に見て恥ずかしい思いをするようなシーンもありません。決して刺激的なドラマではありません。しかし、安らげるドラマだと私は感じました。ヒットしたのは、そういった要因もあるのではないでしょうか。
――イ・ジュニョクさんのようなお兄さん(オッパ)がいればいいのにと感じている女性の視聴者が多いと思うのですが、実際にご兄弟はいますか?
イ・ジュニョク:私は一人っ子です。ジワンには申し訳ないですが、6か月間ジワンを演じてみて、実際の私と比べたら、私のほうがいいお兄さん(オッパ)ではないだろうかと思いました。ジワンよりも良くしてあげられると思うから。
――日本のファンのみなさんにドラマの簡単な紹介と見どころ、そしてメッセージをお願いします。
イ・ジュニョク:日本のみなさん、『青い鳥の輪舞〈ロンド〉』は家族間の愛情と家族の間で起こる様々な事件を描いた長編ドラマです。青年たちが成長していく姿も描かれています。そしてイ・サンヨプさんのオールヌードも登場します。ご期待ください。ありがとうございました。
2016.10.15 |