10月27日(火)、東京都内でポン・ジュノ監督最新作 2009年カンヌ国際映画祭<ある視点>部門正式出品 『母なる証明』の出演者による記者会見が行われ、ポン・ジュノ監督、主演のキム・ヘジャ、そしてウォンビンが揃って姿をあらわした
本作品のテーマは “母親”。無尽蔵ともいえる母親の息子への愛情と親子の絆を、『殺人の記憶』、
『グエムル』の奇才・ポン・ジュノ監督が極減まで追求してみせる。作品では狂気をも醸し出す名演を見せた母・キム・ヘジャと純粋で小鹿のような瞳をもった息子を演じたウォンビン。 素顔の二人は明るく気さくで良く笑う母と、そんな母を見守る物静かな息子のよう。質疑応答のなかでもお互いをサポートするなど、息の合ったところをみせた。
見詰め合って笑みをかわす“母と息子” |
ポン・ジュノ監督によると、本作品の出発点は主演のキム・ヘジャだそうだ。キム・ヘジャの映画を撮りたいがために、母をテーマに選んだ。その息子役にはウォンビンしか考えられなかったという。
極限状態にある母の一途な思いを激しく演じたキム・ヘジャは、「人間というより動物であり、血を流す手負いの獣のような気持ちで壮絶に闘った」と表現する。「母の無条件の愛情がテーマ。この世に母のない人はいない。今母の立場にある人、これから母になる人、母を思う人、多くの方にいろんなことを感じて欲しい。作品を通して『母とは何か』を表現したかった」と話した。
一方、その息子で子供のように純粋な心を持つトジュン役のウォンビンは「自分にとっては難しくもあり、楽しく、やりがいのある仕事だった」、心がけたこととしては「うわべの純粋にこだわらず、トジュンが持っている純粋さとは何か?と中身にこだわりながら演じた」「どうしたら母をそこまで突き動かすことができるか、常に母を不安にさせる子供の気持ちをはかって演じた」という。実際のウォンビンの母親はこの作品の母に通じるところがあり、息子の為なら全て投げ出すことができる人だと話した。また、ポン・ジュノ監督について、役者が壁にぶつかり難局に面しているところをまるでリハーサルのように気楽に演じられるように仕向けてくれたと感謝の意を述べる。応援してくれるファン(昨日の来日時も多数のファンに熱く迎えられ、感動したそうだ。)へのメッセージとして、「作品に関心を持っていただいて感謝しています。これからも愛情を持って応援をお願いします。」としめくくった。
その後一行は場所を「新宿バルト9」に移し、観客の前で舞台挨拶を行った。
ウォンビンの公式来日が5年ぶりということもあり、ファンにとっては待ちに待っての作品、そしてこの時である。ポン・ジュノ監督、主演のキム・ヘジャ、ウォンビンが登壇すると会場には大声援が起こり熱気に包まれた。
ポン・ジュノ監督は冒頭、「キム・ヘジャさんという韓国の大女優、そしてウォンビンさんの作品を皆様に見てもらうことができ大変幸せに思っている。」と日本公開の喜びを述べ、続けて日本公式訪問は初めてという『韓国の母』、キム・ヘジャが挨拶をしようとした所・・・マイクがOFF状態!それをウォンビンがすぐに気がつきスイッチを入れてあげる一幕も。司会者の「ウォンビンさん優しいですね」の言葉に、「すべて息子がしてくれるんですよ」と嬉しそうに返したキム・ヘジャは、
「私が大好きな監督が一緒に仕事がしたい、と言ってくれたことがとても嬉しかった。
撮影中は、ある時は女優として惨たんたる気分になったり、『とても良かったですよ』のメールに嬉しくなったりと、大変忙しい状態でしたが終えてみると、ただただ美しい思い出として残っています」と語った。
“母”にマイクの使い方を教える“息子”
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続いてウォンビンがこの『母なる証明』という素晴らしい作品で日本のファンに会えた喜びと、
「この「母」という単語から皆さんにたくさんのことを感じてもらえれば嬉しいです。」と述べ、
「劇中では母親が子どもを気遣って漢方薬を飲ませてくれるシ-ンがありますが、漢方薬を飲み過ぎて胃もたれになりました。あと母親が息子と同じテーブルを囲んで鳥を食べるシーンでは、8羽くらい食べまいした。鳥の足は16本くらい・・・すごく食べたと思います。」と答え会場を沸かせた。
続いてスペシャルゲストとして俳優、香川照之さんとファーストレディー、鳩山幸さんが登場。
2007年に『TOKYO!』と言う作品でポン・ジュノ監督と一緒に仕事をした香川照之さんは、
「次の作品は母と子の物語で脚本を書き始めていると聞いてはいましたが、こんな恐ろしくすごい作品になるとは思いませんでした。監督作品の中では『殺人の追憶』が一番好きなのですが、今回はそれを超えたと思います。」と大絶賛。鳩山幸さんは、「すごい映画です。すごく考えさせられます。重い映画ですが母親ってやっぱりそうなんだろうなと思える映画です。皆様大いに期待してください。」と語った。
最後にポン・ジュノ監督は
「この映画については自慢したいことが一杯ですが、ここでは俳優さんたちの演技の自慢をさせて下さい! 大女優のキム・ヘジャさんと、それに負けない位恐るべき演技をみせてくれたウォンビンさん。
今ではアイドルではなく完全に演技派として変身を遂げたウォンビンさんを見ることができて、私も本当に嬉しく思っています。」と述べ、大きな歓声と拍手の中、舞台挨拶を終了した。
新宿バルト9で行われた舞台挨拶つきプレミア上映会は1回限り。チケットはもちろん発売後即完売。 |
『母なる証明』は10月31日(土)より
シネマライズ、シネスイッチ銀座、新宿バルト9ほか
全国ロードショー!(配給:ビターズ・エンド)
監督: ポン・ジュノ 脚本:パク・ウンギョ、ポン・ジュノ
出演: キム・ヘジャ、ウォンビン、チン・グ、ユン・ジェムン、チョン・ミソン ほか
2009年/韓国映画/129分 オフィシャルサイト: www.hahanaru.jp
2009.10.31
[ 記事:Epoch-Entertainment S ]
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